1) 食香バラとは
2) 食香バラの故郷とバラ鎮
3) 食香バラの特徴
4) 食香バラ 謎を秘める1000年のバラ
1) 食香バラとは
私たちが、エディブルフラングランスローズと名付けたバラのことです。
中国では昔、観賞するバラを月季、つるバラを薔薇、食用や薬として、また、香りを楽しむバラをメイグイとそれぞれの用途によって呼び分けていました。
広大な中国には、それぞれの地域にその場所のメイグイがあります。私たちが食香バラと呼ぶのは、山東省平陰県で栽培されている。平陰重弁紅メイグイの事です。
2) 食香バラの故郷とバラ鎮
食香ばらの故郷は山東省平陰県にありその名もバラ鎮(村)という場所です。
バラ鎮は泰山が東にそびえ、黄河が西に流れています。
翠屏山の麓にあり、四方が山に囲まれ、中国のバラの谷として広く知られています。
一年の四季がはっきりしていて、気温の上昇は比較的穏やかで、開花期雨量は少なく日射も十分足りています、黄河がもたらした肥沃な土壌が濃厚でかぐわしい平陰のバラを作り上げています。
食香ばらの歴史
この地でのメイグイの栽培の歴史は古く、唐の時代にさかのぼり1300年の歴史があるといわれます。
ある言い伝えによれば、唐の時代に高僧が翠屏山の寺院の庭にメイグイの苗を植えたのが始まりとされていますが、その他たくさんの民間伝承が伝えられています。
山東省バラ鎮でのバラ栽培
山東省平陰県は、黄河の中流の穀倉地帯にあり、世界最大規模のバラ栽培がおこなわれています。従事する農家は3万戸でその栽培面積は3,500ha東京ドーム800個分、なんと年間9,000トンのバラの花を集荷すしています。
3) 食香バラの特徴
食香バラのことをエディブルフレグランスローズとも言います。
食香ばら(平陰紅重弁メイグイ)は花弁が多く、約60枚もあります。色鮮やかで、香りが馥郁としていて鑑賞に値するだけでなく医薬、食材に使われ精油、香料が採れ、経済的な価値が高く、2012年中国中央政府衛生部は、薬食同源の中国医学理論に基づき平陰重弁紅メイクイ(食香バラ)を新資源食品に認定しました。数あるメイクイの中で中国政府が認めている唯一の食用バラです。
1. 贅沢な香り
とにかく強い芳香性があり、甘い香りにスパイシーな香りを忍ばせますバラ精油を多く含みローズオイルを採るバラです。
2. 食用のバラ
日本で「食べるバラ」して販売されている商品は、観賞用のバラを無農薬で生産したものがほとんどだと思います。 食香バラ®は食べるバラです。もともと食用を目的に改良されたバラです。
3. 病気に強い
東アジアに自生する野生のバラが親と考えられているバラで病気に強くうどんこ病や黒星病にほとんどかかりません。
品種紹介
食香バラには2つの品種があります。
豊華(ほうか)
花弁が40~50もある重弁です、四季咲き性が弱くおもに春に咲く品種ですが、花色も濃く、香りの特に強い品種です。花の大きさはやや小ぶりですが、花が房状に付きたくさん咲く食香バラを代表する品種です。
紫枝(ズズ)
紫の枝と書いてズズと読みます。
それは、冬に落葉したときに枝が赤紫色をしているからです。
ズズは、香の強さは、豊華に譲りますが、花が大きく四季咲き性のバラです。
紫枝ズズの花
4) 食香バラ 謎を秘める1000年のバラ
食香ばらは、中国山東省平陰県で長い歴史の中で育まれた平陰紅重弁メイクイ等に名付けた名称ですが、 このバラの生い立ちや育成経過は、1000年以上の歴史の中に埋もれ定かではありません。
植物的には、東アジアに自生する一重咲きの ハナナシ バラ科 バラ属 Rosa rugosa とされる事が有りますが (葉緑体DNAの解析やフラボノイド組成の解析により平陰を含む中国北部で栽培されるメイクイは、ハマナスとオオタカネバラとの交配種であることが示唆されていると言います。「平陰のばらの花の香り」大久保直美氏)
また、メイクイの学名に Rosa meikui を当てる場合もあり、メイクイが交雑の結果生じたものか、大陸に自生している野生種から育成されたかは、今後の研究が待たれるところです。